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これはリキ、リンが健在だった2009年秋のもの
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以前にオオカミの位置関係について触れた事があったけど、ボスであるリキが後方にででんと陣取り、最年少のリンが先頭にいる
そして怖がりのチャチャはボスリキの後ろかさらに安全な奥まったところ
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テリトリーの外を通りかかったわんこを偵察に行くリン
向こうが通り過ぎざまに吠えてきたらリンが応戦する
そのまま行ってしまえばリキはこの態勢のままリンにまかせているが、相手がフェンスに近づいてさらに吠えるようなら、がばっと立ち上がり自分が追い払いに出て行く
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そしてそれをはらはらと見ていて時々「うおん!」と声で加勢するチャチャ

リキ亡きあともリンはずっとこの位置を守り、チャチャも同様でリキの「聖域」は空けたまま、ふたりで番犬業務を続けていた
と、言ってもチャチャは応戦するリンのすぐ後ろに立って
「リンちゃん、大きい子だよ。大丈夫?」と、おろおろ足踏みしながら時々「うおん!」の加勢
ところがリンに心臓の発作が出る少し前から、チャチャがリンにとって代わるようになった
怖がりのチャチャがどどどっとフェンスぎりぎりまで走って行き、勇ましく吠えている
リンは定位置で座ったまま以前のチャチャのように声で加勢するようになった

間もなくリンの具合がどんどん悪くなり、チャチャが勇気を振り絞ってリンをかばっているのだと解る
私はチャチャがリンの体の不調だけではなく、もうリンの時間が残り少ない事すら知っていたのではないかと思っている
人間のように言葉でコミュニケーション出来ず心で話す彼らの会話は、私達よりずっとストレートで嘘がないのだろう
チャチャとリンは私達よりもっと早くに別れをかわしていたような気がする

リンは旅立ちの前夜ちびのケージに寄りそうようにして一夜を明かしている
旅立ちの瞬間もちびはリンの姿をすぐ後ろにあるケージから見つめていた
リンは自分が命を終える瞬間にその姿を見せる事で、リキから受け継いだ何かをちびの中に叩きこんで逝ったような気がしてならない

ちびは6月11日の夜、はげしく嘔吐と下痢を繰り返した
先生に連絡したところ、今からまさに帝王切開の手術に入るところなので終わり次第連絡を下さるという
連絡を受けてH君とチャチャにリンの付き添いをまかせ、深夜近い時刻にちびに点滴をしていただく
ストレス性腸炎で脱水症状になっていた
点滴の間ぐっすりと眠ってしまったちびを見守りながら、先生がリンのカルテを出してきて下さり、奥様と三人でリンのささやかな通夜をした
「リンが初めてここに来た時の体重は7キロだよ。最終のワクチンだね」
そしてレプトスピラ、子宮蓄膿症、ストレス性大腸炎・・・
幾度もの入院とその時の様々なエピソード・・・
「正直もう八割がた危ないと思った時もリンは頑張ったね。9歳までよく生きてくれたと思う」
先生はリンに、と花束を用意して下さっていた

帰り道「稲荷山トンネル」に入ってすぐ、ちびが起き出した
助手席に置いた大きなダンボールのふちにアゴをちょんと乗せ、じっと私を見ている
その表情を見て私の口からごく自然に「リキ、ごめんね。しんどかったね」という言葉が出た
生後わずか50日の子犬にとってあまりにも過酷だった二日間
そんな体験が一夜にしてちびの表情を「赤ちゃん」から「リキ」に変えていた
「リキ、このトンネル思いだした?」
そう話しかけたとたん、この一年余りの間に起こった出来事とその意味のようなものが頭の中に渦巻いた
リンの体を労わり命をリンに繋ぐように、そして妹達が旅立つ時にひとりぼっちで行かせるものかというように、先陣を切って空へ駆けあがったリキ
私の悲しみや後悔を吸い取るように癒して、ちびの中にリキの思いを宿させて、そしてチャチャにその成就を託してリキのあとを追ったリン
チャチャを本格的にダイエットさせたのは心臓のトラブルだったけれど、先月の健診ではとてもきれいな心音になっている
これもリンの、自分を献身的に可愛がってくれたチャチャへの愛だろうか
リンは今まで色んな病気をしたけれど、最後の闘病までは心臓だけは丈夫だったのだから・・
リキとリンは私達にちびを授け、自分達の思いを宿していく事をチャチャに託してくれたのだと思った
命ってこうして巡り巡っていくんだと気付いて、「リキ!リン!」と大声で名前を呼び、トンネルを走り抜ける間思いきり泣いた
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赤ちゃんなのに、ときおりふっと大人びた表情をするちびリキ
この子は全くと言っていいほど手がかからない
トイレの失敗もほとんど無くて、我が家に来てから夜泣きも一度も無い
病院で手当てを受けた翌日には旺盛な食欲を見せ、日に日に大きくなってゆく
チャチャは一週間ほどじっとうずくまり自分の殻に閉じこもっていたが、ここ数日かつてリンを育てたようにちびリキの世話を懸命にやいている
しっかり叱りしっかり可愛がり、ちびリキもチャチャを慕って付いて歩くので、ケージは早くもがらくたと化してしまっている
ちびリキは今家の中を歩き回って、我が家に染みついているだろうリキやリンの匂いを嗅いで、そこから様々なメッセージを受け取り、まるでイリュージョンを見ているようにリキと同化している
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ちなみに、ちびリキはやはりというべきか車酔いをする
by charinmaru | 2011-06-25 18:06

秋田犬&ゴールデンレトリバーと暮らす四季折々


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