天翔との12日間

一週間余りブログを放置してしまいました
その間にもご訪問下さった皆様、ありがとうございました

また、労わりのコメントを下さった、8988さま、サコリンさま、近江さま、monakaさま、shiroさま、jyajyaさま、大変ご心配をおかけしました
そしてありがとうございました

結石はひとつが無事体外へ出てくれました
あとひとつ腎臓にあるのが確認されていたのですが、投薬のおかげで小さくなったようで、激痛はもう無くなっています
強い痛み止めも必要ないので、麻酔の醒めかけのような危ない状態からも解放されました
来週CT検査を受ける予定ですが、その頃には残りのひとつも排出されているのでは、と思っています

今日は5匹産まれたりんの子供のうちの一匹、三女の天翔(てんしょう)のお話をしたいと思います

e0198839_17371930.jpg

三番目に誕生したこの子は産声を上げませんでした

出産の前日、りんは主治医先生の病院ではなく、自宅からも歩いて行ける近さの病院でレントゲン撮影をしています
何か異変が起こって帝王切開が必要になった時、車で40分近くかかる病院では取り返しがつかない事態に陥るかもしれません
近くの病院へ一度診察を受けに行き、もしもの場合の事をお願いしてくる・・・主治医先生の指示でした
どこの病院かを知らせておいて、いざという時には先生同士で今までのデータ等をやりとりしてもらって対処して頂くという方法です
近くの病院では快く承諾して下さり、正確な胎児の数を把握するためにレントゲンを撮る事になりました
この時に判明したのが「一匹だけ障害のある子が産まれてくるか、もしくは死産という事になるかもしれない」という事でした
画像を一緒に見ましたが、胎児が重なり合った複雑な画像は私達にはよく解りませんでした

この時に死産を危惧された子がこの三女でした
五体はちゃんと揃っていましたが、両足首が外側に曲がっていました
りんは瞬時にこの子が動いていないことを見抜き、羊膜を破りかけて途中で止めてしまいました
H君が手で羊膜を破っている間に私はハサミやタコ糸を準備し、乾いたタオルを取りに走りました
急いで戻ると口や鼻に詰まった羊水を吸いだしたH君が、両手のひらで三女をこすっています
どうやらりんの口元にへその緒を持って行き咬み切らせたようでした
タオルで拭いたあとさらに体をこすり、H君が逆さにして振るようにした時に、三女はようやくか細い声を上げました
りんは驚き弾かれたように三女の体を舐め始めました

自然界で産まれていたならば、おそらくこの子は産声を上げる事はなかったでしょう
動物は産まれてすぐに自分の力で母親のお乳に吸いつく者しか育てようとしません
人間のように医療を尽くして蘇生させる事はないので、だからこその多産だといえます
自力でお乳を飲める者が生きる権利を与えられ、その力のない者は自然淘汰される・・・
三女は自分がそういう風に自然淘汰される事に、精いっぱい抗おうとしたかのようでした

e0198839_22193949.jpg

          スポイトでH父に粉ミルクを飲ませてもらう三女

私達は三女を天翔と名づけました
子供が産まれたなら手元に一匹だけ残そうと思っていたので、予め名前は決めてありました
天から授かった子だから、天を翔けてきてくれた子だから、性別はどちらでも「天翔」
母親の鈴嶺(りんね)と天翔で「輪廻転生」となり、何度生まれ変わってもまた私達の元へ来て欲しいという願いを込めて付けた名前でした

全員が無事産まれて初乳を飲んで落ち着いたあと、H君は天翔を連れ病院へ走りました
小さすぎて詳しい検査などは出来ませんが、足の状態を診てもらいたかったのです
結果、天翔にはかかとの骨が欠損しているようだという事が解りました
これでは立つ事は出来ず、体が十分大きくなった頃に外科手術で足にプレートを埋め込むか、断脚して義足を付けるか、とにかく今の段階では何もしてやれません
母乳を飲むにも這う力が弱くて、兄弟たちにはじき出されてしまうだろうから、みんなが飲み終わって眠ったあとに、ひとりゆっくり飲ませてあげるというような配慮がいるとの事でした

数日観察しているうちに、天翔のお乳の飲み方がすこしおかしいと気付きました
乳首を口に含んではいるものの、他の子のように前足で押すようなしぐさや首ごとグイグイ引っ張るようなしぐさがほとんど無く、体の大きさもどんどん差がついてきます
レントゲンを撮影した近くの病院へ連れて行き、なぜ体の異常が解ったのかたずねてみました
担当のI先生は、まず天翔が仮死状態から蘇生した事を大変驚かれました
外的に異常がある子はほとんどが内臓にも何らかの問題があり、大概の場合死産となるそうなのです
I先生がおっしゃるには、画像の天翔の骨は他の子に比べてとても薄く写っていたとのこと
骨に何らかの障害があるのはあきらかだったようです
「大変きびしい話になりますが・・」とI先生は切りだされました
おそらくこの子はもう育たないでしょう
数日の命だと思うがその間せいいっぱい可愛がってあげてください

天翔はお乳をのみ込む事は出来るけれど、吸う力があまりにも弱いのでした
その日からスポイトでの授乳が始まりました
一滴づつ口に含ませるたびに懸命に前足で空を押し、時にはむせながら必死でミルクを飲む天翔
夫婦で交代しながら一回にほんの10cc位づつ、日に6回ほど飲ませました
先日ブログに子供達をアップした頃、天翔の体重は100グラムほど増えていたのです
200グラムで産まれて五日でようやく100グラム
兄弟たちはその頃もう600グラムに近くなっていました
私達にはひとつの希望がありました
3週間持ちこたえられたら、ゆっくりした成長にはなるだろうけど育っていく可能性もある・・・I先生の言葉でした
頑張れ天翔!負けるな天翔!
歩けないなら膝が擦りむけないようプロテクターを作ってあげる
ブログで皆さんに知恵をお借りして、大きくなった頃には車椅子も作ってあげるから・・・

けれど、日を追うごとに天翔の足は湾曲していき、手も内側に曲がり始めました
両腕で胸を抱き、足はあぐらをかいて座っている時のような状態です
首もぐらぐらと頼りなく、首がすわる前の人間の赤ちゃんのようでした
ミルクを飲みこむ力も次第に弱くなり、せっかく300グラムあった体重が260グラムまで落ちていきました

7月4日、体温が低い天翔をH君は自分の体にくっつけて暖めていましたが、天翔はその温もりの中で午後11時ごろ息を引き取りました
この世に産まれ落ちてわずか12日間の生涯でした

最初に天翔が死産だと思ったりんは、その後蘇生した天翔をそれはそれは可愛がり慈しみました
私達がミルクを飲ませている間は「ピーピー」と心配して鼻を鳴らし、飲み終えると体中を舐めて排泄の世話をします
兄弟達が大きくなってくると圧迫されないか心配したのでしょう
天翔を咥えてうろうろと安全な場所を探したりもしました
そんなりんですから天翔が冷たくなっても必死で体を舐めて離そうとはしませんでした
翌日、荼毘にふすために天翔をりんから取り上げる時は、本当に断腸の思いでした

手のひらに収まる小鳥のような天翔の遺骨は、小さくて、小さくて・・・
顎の骨に、もうすぐ生えてくるはずだった妻楊枝の先ほどの歯がちゃんと付いていました

どうしてこんなに涙が出るのだろう
たった12日間しか一緒に過ごしていないのに、どうしてこんなに悲しいのだろう・・・

天翔という名は足が不自由なこの子にとってあまりにも皮肉な名だと思っていました
でも、今はこの子だからこそこの名で良かったと思うのです

てんちゃん、お空にはパパによく似た強ーいおじさんと、ママによく似た優しいおばさんがいるよ
まっすぐ胸に飛び込んで行きなさい
きっとてんちゃんの事可愛がって大切にしてくれる

てんちゃん、天に向かって翔けて行きなさい

e0198839_1113512.jpg


とても長い文章になってしまいました
天翔の事を書いて一区切りをつけないと、自分の心が折れそうだったのです
りんは今精神的にとても不安定で、どこを探しても天翔がいないので、育児が上の空になっています
私達が一緒に寝ころんで、そこに子供達を連れてきて授乳させています
幸い子供達はみんな順調に育ち、まもなく目が開きそうなところまできています
近いうちに成長ぶりをお目にかけたいと思っています

長い記事を読んでいただいてありがとうございました
[PR]
by charinmaru | 2012-07-06 17:38

秋田犬&ゴールデンレトリバーと暮らす四季折々


by charinmaru